
全日本ドッグトレーニング協会認定 A級ライセンス制度
全日本ドッグトレーニング協会(AJDTA)最高位実技資格
はじめに
全日本ドッグトレーニング協会(AJDTA)のA級ライセンスは、ドッグトレーナーとしての専門的実践力・臨床的判断力・教育的責任を備えた者に付与される、上位実技資格です。
本資格は、犬の行動学・心理学・教育学・倫理学を総合的に理解し、重度の問題行動に対応できる指導者としての能力を証明します。
AJDTAでは、単なる「訓練技術者」ではなく、犬と人の行動を科学的に分析し、社会的信頼を築ける“教育者”としてのトレーナー育成を目指しています。
A級ライセンスの目的
A級ライセンスは、以下の3領域を統合的に修得し、現場で再現できることを目的とします。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 行動学的理解 | 行動分析学・応用行動分析・学習理論の実践応用 |
| 臨床的アプローチ | 攻撃・恐怖・分離不安など重度問題行動の修正プログラム設計 |
| 教育・指導能力 | 飼い主教育・スタッフ指導・講師としての教育スキル |
この資格は「トレーニング技術の上達」だけでなく、“教育力と倫理力を備えたリーダーシップ”の育成を重視しています。
対象者
A級ライセンスは、次のような方を対象としています。
- プロドッグトレーナーとして独立・開業を目指す方
- 現場で問題行動・臨床対応を行うトレーナー
- しつけ教室・幼稚園・教育機関の責任者
- 講師・インストラクター・教育事業運営者
- AJDTA認定パートナーを目指す方
学習内容
A級講座では、理論・実技・教育・経営を包括的に学びます。
| 分野 | 学習テーマ |
|---|---|
| 行動科学 | オペラント条件づけ・古典的条件づけ・強化スケジュールの設計・行動修正理論 |
| 行動臨床 | 脱感作・拮抗条件づけ・恐怖/攻撃行動への対応・症例別プロトコル設計 |
| 福祉・倫理 | LIMA原則(最小侵襲・最小嫌悪)・動物福祉法・ハズバンダリートレーニング |
| 教育・指導法 | 飼い主へのカウンセリング技法・行動変容面談・スタッフ教育 |
| 実務・経営 | 現場運営・危機管理・顧客対応・サービス構築・事業設計基礎 |
| 実技演習 | 問題行動犬の行動分析と修正実践・動画レポート提出・個別指導セッション |
試験概要
受験資格
以下の要件をすべて満たす必要があります。
- AJDTA正会員であること
- 当協会規定A級講座(理論・実技)を修了していること
- B級ライセンス取得後、実務経験または同等の活動実績を有すること
- 倫理規範(LIMA原則・動物福祉)を理解し遵守していること
試験内容
A級認定試験は、「筆記試験」「実技試験」の三部構成です。
| 区分 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 一次試験:筆記試験 | 行動学理論、福祉・倫理、実務問題 | 理論的理解と応用力の確認 |
| 二次試験:実技試験 | 指定課目(基礎〜応用)+自由課題 | 実践力・観察力・対応力の評価 |
合格基準:総合評価70点以上(筆記・実技・倫理評価を含む)
合否発表:試験後30日以内に文書通知
実技試験の主な評価項目
- 犬の情動変化を読み取る観察力
- 飼い主への説明力・言葉選びの適切さ
- トレーニング環境の安全管理
- 正の強化・脱感作などの科学的介入
- 不適切な圧・罰・威圧の回避
- 行動変容プランの論理性と継続性
試験スケジュール・会場
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日程 | 随時(協会ホームページにて告知) |
| 会場 | 全日本ドッグトレーニング協会 本部実習施設/指定研修施設 |
| 受験料 | お問い合わせください(教材費・評価費含む) |
| 申込方法 | 協会スタッフにお問い合わせください |
| 持参物 | 筆記用具、受験票 |
※締切以降のキャンセル・返金は不可。
取得後の活動範囲
A級ライセンス取得者は、以下の活動を行うことができます。
| 活動領域 | 内容 |
|---|---|
| 行動修正指導 | 問題行動犬(攻撃・恐怖・分離不安等)への専門的トレーニング |
| 講師活動 | 各種講座・セミナー・講演・教育現場での指導 |
| 飼い主カウンセリング | 行動変容面談・家庭環境の再設計サポート |
| 教育運営 | スタッフ育成・講座監修・教材開発への参画 |
| 認定パートナー制度への申請資格 | AJDTA認定パートナー制度への申請が可能 |
倫理・更新・再教育制度
A級ライセンス保持者は、AJDTAが定める倫理・教育・福祉基準を遵守し、2年ごとの更新審査を受ける必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新頻度 | 2年に1回(研修・筆記再評価含む) |
| 更新条件 | 倫理遵守/活動報告/教育研修参加 |
| 再教育制度 | 講師勉強会・ケースレビュー・現場同行研修を通じた再評価 |
| 認定停止要件 | 動物福祉違反、虚偽報告、暴力的指導、倫理規範違反等 |
よくある質問(FAQ)
Q1. どのくらいの期間で取得できますか?
A. 受講ペースにより異なりますが、通常は約12ヶ月で取得可能です。実技の熟練度により短縮も可能です。
Q2. 問題行動犬を扱うには資格が必要ですか?
A. 行動修正に関しては、A級ライセンスまたは同等の臨床知識を持つことを推奨します。
Q3. A級ライセンスがあると独立できますか?
A. はい。A級取得者は独立開業・講師活動・パートナー申請が可能です。協会から集客支援も受けられます。
Q4. 更新を怠った場合はどうなりますか?
A. 有効期限切れ後はライセンス表記・活動が停止され、再教育・再試験が必要です。